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高森明勅
2017.4.9 00:00

譲位要件(3)について

先頃の衆参正副議長による“議論のとりまとめ”で、
特に心配なのが譲位要件(3)。

譲位は皇室会議の議決による。

この要件だ。

何故この要件が必要なのか。

先ずは、譲位が万が一にも客観的妥当性を欠くことが無いように。

これで所謂「恣意的な」ケースを防ぐことが出来る。

更に、譲位の責任が直接、天皇ご本人に及ぶのも避けられる。

では、どうして国会ではなく、皇室会議なのか。

主に5つの理由を挙げることが出来る。

1、「日本国」及び「日本国民統合」の「象徴」としての
天皇の地位に鑑み、立法府(
国会)だけでなく、
三権の代表者が加わる皇室会議が相応しい。

2、譲位を議する場は、皇族のご意向が反映されるのが望ましい。

皇室会議は皇族の代表も議員になっておられる
現在は秋篠宮殿下と常陸宮妃華子殿下)。

3、皇室会議には衆参正副議長がメンバーに入っているから、
民意を汲む上でも遺漏がない。

4、皇室会議には、皇位継承順序の変更や摂政設置など、
重大かつ微妙なテーマについて、高度で慎重な判断を期待されている。
譲位も勿論、
それらに劣らぬ慎重な判断が求められる。

5、天皇ご自身の高齢化による心身の衰えなどの
情報の保護の点でも、
ープンな国会より皇室会議が適切だ。

政府の法案作成と国会の法案審議において、
譲位要件(3)
は是非とも重視して欲しい。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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